「神を欺いた夫婦」 佐藤義子 牧師

/n[箴言] 12章17-22節 17 忠実に発言する人は正しいことを述べ/うそをつく証人は裏切る。 18 軽率なひと言が剣のように刺すこともある。知恵ある人の舌は癒す。 19 真実を語る唇はいつまでも確かなもの。うそをつく舌は一瞬。 20 悪を耕す者の心には裏切りがある。平和を勧める人の心には喜びがある。 21 神に従う人はどのような災難にも遭わない。神に逆らう者は災いで満たされる。 22 うそをつく唇を主はいとわれる。忠実を尽くす人を主は喜び迎えられる。 /n[使徒言行録] 4章32節-5章11節 4:32 信じた人々の群れは心も思いも一つにし、一人として持ち物を自分のものだと言う者はなく、すべてを共有していた。 33 使徒たちは、大いなる力をもって主イエスの復活を証しし、皆、人々から非常に好意を持たれていた。 34 信者の中には、一人も貧しい人がいなかった。土地や家を持っている人が皆、それを売っては代金を持ち寄り、 35 使徒たちの足もとに置き、その金は必要に応じて、おのおのに分配されたからである。 36 たとえば、レビ族の人で、使徒たちからバルナバ――「慰めの子」という意味――と呼ばれていた、キプロス島生まれのヨセフも、 37 っていた畑を売り、その代金を持って来て使徒たちの足もとに置いた。 5:1 ところが、アナニアという男は、妻のサフィラと相談して土地を売り、 2 妻も承知のうえで、代金をごまかし、その一部を持って来て使徒たちの足もとに置いた。 3 ると、ペトロは言った。「アナニア、なぜ、あなたはサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて、土地の代金をごまかしたのか。 4 売らないでおけば、あなたのものだったし、また、売っても、その代金は自分の思いどおりになったのではないか。どうして、こんなことをする気になったのか。あなたは人間を欺いたのではなく、神を欺いたのだ。」 5 この言葉を聞くと、アナニアは倒れて息が絶えた。そのことを耳にした人々は皆、非常に恐れた。 6 若者たちが立ち上がって死体を包み、運び出して葬った。 7 れから三時間ほどたって、アナニアの妻がこの出来事を知らずに入って来た。 8 トロは彼女に話しかけた。「あなたたちは、あの土地をこれこれの値段で売ったのか。言いなさい。」彼女は、「はい、その値段です」と言った。 9 ペトロは言った。「二人で示し合わせて、主の霊を試すとは、何としたことか。見なさい。あなたの夫を葬りに行った人たちが、もう入り口まで来ている。今度はあなたを担ぎ出すだろう。」 10 すると、彼女はたちまちペトロの足もとに倒れ、息が絶えた。青年たちは入って来て、彼女の死んでいるのを見ると、運び出し、夫のそばに葬った。 11 教会全体とこれを聞いた人は皆、非常に恐れた。 /nはじめに  今日の聖書には教会の中で行われた愛の行ないについてと、それに伴う二つの実例が語られています。 信仰によって一つとされた群れの交わりは心も思いも一つにされ、全てを共有するという愛の法則が生まれていました。そして聖霊の賜物を豊かに受けて大胆に御言葉を語り、イエス・キリストの復活を語っていました。今朝は、この群れの中で起こった具体的な実例から学びたいと思います。 /n二つの献金  一つの例はバルナバです。彼は自分の畑を売ってその代金すべてを使徒達に託しました。(バルナバについては、このあと使徒言行録13章にパウロと福音宣教の旅に出ていく使徒として再び登場します)。もう一つの例はアナニアとサフィラという夫婦の例です。彼らも又、土地を売った代金を使徒達に託しました。この二組の行為を私達が「献金」として見た時、金額の違いはあったにせよ群れのために献げられたということで、全く問題はないように思われます。ところが、同じ「献金」でもアナニア夫婦の献金には罪が入り込みました。アナニア夫婦が陥った罪とは代金をごまかすという罪でした。 /n偽りの罪  夫アナニアは妻サフィラと相談して、土地代金の一部を手元に残し、そのことを隠して、これが自分達の土地を売ったすべてですと偽りの報告に基づく献金をしました。代金の一部を手元に残しておけば、何かあった時に教会に頼らなくてもすむと考えたのか、あるいは、自由に使えるお金が欲しくなったのか、あるいは、信仰深い夫婦だ、愛も深いと称賛されたいという名誉欲に襲われたのかもしれません。 神に従おうとする者を罪へと引きずり込むサタンの力は強力です。彼はその誘惑と戦う必要がありました。しかし彼は戦うべき誘惑とは意識せず、自分のごまかしを信仰者の群れの中で通用させようとしたのです。教会は、神の霊でありイエス・キリストの霊である聖霊が満ちているところです。 私達は聖霊を通して神様のご臨在に触れ、神様の恵みをいただき、喜びや愛、救いの確信や交わりが生まれてきます。それに伴って私達は真理に立ち、光の中を歩むという使命も与えられています。教会の清さを保つには、不正をあばき偽りを明るみに引き出さなければなりません。ペトロが言っているように、アナニアは土地を手放す必要はありませんでした。売らなければいつまででも彼の所有であり続け、又売ったとしても、その代金はすべてアナニアのものでした。 /n神の裁き  しかしアナニアは罪を犯しました。そしてペトロの「あなたは人間を欺いたのではなく、神を欺いたのだ」との言葉を耳にして「アナニアは倒れて息が絶え」(5:5)ました。続いて聖書はアナニアの妻サフィラについても述べています。彼女は夫の死がまだ知らされていない状況の中でペトロと会い、ペトロは妻サフィラに、悔い改める機会を与えました。すなわち土地を売った代金の金額を尋ねたのです。けれどもサフィラは偽ったまま、真実を述べる機会を見過ごし、悔い改めという恵みの時を持とうとせず、(夫と同じように)倒れて息が絶えました(5:10)。 /n私達へのメッセージ  「教会全体とこれを聞いた人は皆、非常に恐れ」(11節)ましたが、この初期キリスト教会の出来事は、今を生きる私達をも恐れさせる事件です。 私達は今日の聖書から、教会は真理の中、光の中を歩み続けていくことが求められていること、神様は隠れた罪を決してそのままにはされず、必ず罪を取り除いてから先に進まれることを心に刻みたいと思います。教会は内的に強くされていかなければなりません。そのために私達に与えられているこの仙台南伝道所が信仰者の群れとして、使徒言行録の教会のように心も思いも一つにされ、愛の法則が教会を支配するように祈り求めていきたいと願うものです。そしてウソ、偽りをこの群から追い出して下さるように・・。それらの誘惑から守られるように・・。いつも真理の中・光の中を歩む共同体として造り上げて下さるように・・。心を合わせて神様に祈り求めていきたいと願うものです。