「神に受け入れられる人」」 佐藤義子 牧師

/n[申命記] 10章12ー18節 12 イスラエルよ。今、あなたの神、主があなたに求めておられることは何か。ただ、あなたの神、主を畏れてそのすべての道に従って歩み、主を愛し、心を尽くし、魂を尽くしてあなたの神、主に仕え、 13 わたしが今日あなたに命じる主の戒めと掟を守って、あなたが幸いを得ることではないか。 14 見よ、天とその天の天も、地と地にあるすべてのものも、あなたの神、主のものである。 15 主はあなたの先祖に心引かれて彼らを愛し、子孫であるあなたたちをすべての民の中から選んで、今日のようにしてくださった。 16 心の包皮を切り捨てよ。二度とかたくなになってはならない。 17 あなたたちの神、主は神々の中の神、主なる者の中の主、偉大にして勇ましく畏るべき神、人を偏り見ず、賄賂を取ることをせず、 18 孤児と寡婦の権利を守り、寄留者を愛して食物と衣服を与えられる。 /n[使徒言行録] 10節1ー48節 1 さて、カイサリアにコルネリウスという人がいた。「イタリア隊」と呼ばれる部隊の百人隊長で、 2 信仰心あつく、一家そろって神を畏れ、民に多くの施しをし、絶えず神に祈っていた。 3 ある日の午後三時ごろ、コルネリウスは、神の天使が入って来て「コルネリウス」と呼びかけるのを、幻ではっきりと見た。 4 彼は天使を見つめていたが、怖くなって、「主よ、何でしょうか」と言った。すると、天使は言った。「あなたの祈りと施しは、神の前に届き、覚えられた。 5 今、ヤッファへ人を送って、ペトロと呼ばれるシモンを招きなさい。 6 その人は、革なめし職人シモンという人の客になっている。シモンの家は海岸にある。」 7 天使がこう話して立ち去ると、コルネリウスは二人の召し使いと、側近の部下で信仰心のあつい一人の兵士とを呼び、 8 すべてのことを話してヤッファに送った。 9 翌日、この三人が旅をしてヤッファの町に近づいたころ、ペトロは祈るため屋上に上がった。昼の十二時ごろである。 10 彼は空腹を覚え、何か食べたいと思った。人々が食事の準備をしているうちに、ペトロは我を忘れたようになり、 11 天が開き、大きな布のような入れ物が、四隅でつるされて、地上に下りて来るのを見た。 12 その中には、あらゆる獣、地を這うもの、空の鳥が入っていた。 13 そして、「ペトロよ、身を起こし、屠って食べなさい」と言う声がした。 14 しかし、ペトロは言った。「主よ、とんでもないことです。清くない物、汚れた物は何一つ食べたことがありません。」 15 すると、また声が聞こえてきた。「神が清めた物を、清くないなどと、あなたは言ってはならない。」 16 こういうことが三度あり、その入れ物は急に天に引き上げられた。 17 ペトロが、今見た幻はいったい何だろうかと、ひとりで思案に暮れていると、コルネリウスから差し向けられた人々が、シモンの家を探し当てて門口に立ち、 18 声をかけて、「ペトロと呼ばれるシモンという方が、ここに泊まっておられますか」と尋ねた。 19 ペトロがなおも幻について考え込んでいると、““霊””がこう言った。「三人の者があなたを探しに来ている。 20 立って下に行き、ためらわないで一緒に出発しなさい。わたしがあの者たちをよこしたのだ。 21 ペトロは、その人々のところへ降りて行って、「あなたがたが探しているのは、このわたしです。どうして、ここへ来られたのですか」と言った。 22 すると、彼らは言った。「百人隊長のコルネリウスは、正しい人で神を畏れ、すべてのユダヤ人に評判の良い人ですが、あなたを家に招いて話を聞くようにと、聖なる天使からお告げを受けたのです。」 23 それで、ペトロはその人たちを迎え入れ、泊まらせた。翌日、ペトロはそこをたち、彼らと出かけた。ヤッファの兄弟も何人か一緒に行った。 24 次の日、一行はカイサリアに到着した。コルネリウスは親類や親しい友人を呼び集めて待っていた。 25 ペトロが来ると、コルネリウスは迎えに出て、足もとにひれ伏して拝んだ。 26 ペトロは彼を起こして言った。「お立ちください。わたしもただの人間です。」 27 そして、話しながら家に入ってみると、大勢の人が集まっていたので、 28 彼らに言った。「あなたがたもご存じのとおり、ユダヤ人が外国人と交際したり、外国人を訪問したりすることは、律法で禁じられています。けれども、神はわたしに、どんな人をも清くない者とか、汚れている者とか言ってはならないと、お示しになりました。 29 それで、お招きを受けたとき、すぐ来たのです。お尋ねしますが、なぜ招いてくださったのですか。」 30 すると、コルネリウスが言った。「四日前の今ごろのことです。わたしが家で午後三時の祈りをしていますと、輝く服を着た人がわたしの前に立って、 31 言うのです。『コルネリウス、あなたの祈りは聞き入れられ、あなたの施しは神の前で覚えられた。 32 ヤッファに人を送って、ペトロと呼ばれるシモンを招きなさい。その人は、海岸にある革なめし職人シモンの家に泊まっている。』 33 それで、早速あなたのところに人を送ったのです。よくおいでくださいました。今わたしたちは皆、主があなたにお命じになったことを残らず聞こうとして、神の前にいるのです。」 34 そこで、ペトロは口を開きこう言った。「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。 35 どんな国の人でも、神を畏れて正しいことを行う人は、神に受け入れられるのです。 36 神がイエス・キリストによって――この方こそ、すべての人の主です――平和を告げ知らせて、イスラエルの子らに送ってくださった御言葉を、 37 あなたがたはご存じでしょう。ヨハネが洗礼を宣べ伝えた後に、ガリラヤから始まってユダヤ全土に起きた出来事です。 38 つまり、ナザレのイエスのことです。神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者となさいました。イエスは、方々を巡り歩いて人々を助け、悪魔に苦しめられている人たちをすべていやされたのですが、それは、神が御一緒だったからです。 39 わたしたちは、イエスがユダヤ人の住む地方、特にエルサレムでなさったことすべての証人です。人々はイエスを木にかけて殺してしまいましたが、 40 神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。 41 しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです。 42 そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました。 43 また預言者も皆、イエスについて、この方を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しが受けられる、と証ししています。」 44 ペトロがこれらのことをなおも話し続けていると、御言葉を聞いている一同の上に聖霊が降った。 45 割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。 46 異邦人が異言を話し、また神を賛美しているのを、聞いたからである。そこでペトロは、 47 「わたしたちと同様に聖霊を受けたこの人たちが、水で洗礼を受けるのを、いったいだれが妨げることができますか」と言った。 48 そして、イエス・キリストの名によって洗礼を受けるようにと、その人たちに命じた。それから、コルネリウスたちは、ペトロになお数日滞在するようにと願った。 /nはじめに  本日の聖書は、内容から6つに分けられます。コルネリウスが見た幻について、ペトロが見た幻について、ペトロとコルネリウスの使者との面会、ペトロとコルネリウスとの対面、ペトロの宣教、そして異邦人にも聖霊が降(くだ)ったという出来事です。 /nコルネリウス  彼は、「信仰心あつく、一家そろって神を畏れ、民に多くの施しをし、絶えず神に祈っていた」人でした。ある日、幻の中で天の使いからペトロという人を招きなさいと命じられます。彼はすぐに使者を遣わしました。 /nペトロ  他方、ペトロも幻を見ます。幻に、獣や空の鳥など(レビ記11章で清くないとされるもの)が入っている大きな布のような入れ物が天から降りて来て、それを食べるように言われます。ペトロは、清くない物は食べたことがないと断りますが「神が清めたものを、清くないなどといってはならない」と声が聞こえ、このやりとりが三度あって入れ物は引き上げられます。ペトロが幻の意味について思案に暮れている時、コルネリウスの使者が到着します。すると神の霊が、ペトロに彼らと一緒に出かけるようにと促します。 /n異邦人との面会  ユダヤ教徒はユダヤ人以外の外国人(異邦人)と付き合うことは禁じられていたので、ペトロは異教徒を家に招き入れて話をすることなど考えられませんでした。しかし彼は神の霊に従うという信仰の決断をして、使者を家に泊らせ、翌日、彼らと一緒に出発しました。 /nコルネリウスとペトロの対面  コルネリウスは、親類や親しい友人達を呼び集めて、ペトロの到着を待っていました。ペトロはコルネリオと会い、彼の幻の話を聞き、家で待っていた大勢の異邦人に福音を伝える宣教の使命を確信します。 /nペトロの説教  ペトロは、自分が見た幻から始まる一連の出来事が、すべて神様のご計画の中にあり、ユダヤ人とか異邦人とかの区別なく、「神様を畏れて正しいことを行う人は、神様に受け入れられる」ことを宣言しました。そして、イエスを救い主として信じる者は誰でもキリストの名によって罪の赦しが与えられることを宣言したのです。 /n聖霊が異邦人に降る  ペトロがまだ語っている最中に、そこにいた異邦人達の上に聖霊が降(くだ)りました。ペトロは異邦人にも聖霊が降ったのを見て、その場で彼らに水の洗礼を授けました。 /n異邦人への救いは、神様の御計画。  コルネリウスは、自分の民族の宗教に甘んじることなく、ユダヤ教の伝える天地創造主である神様を信じ、聖書の教えに従い、隣人への愛に忠実でした。家長としての役割も果たし、幻で与えられた指示にもすぐ従いました。神様を愛し、人を愛し、真実を求めて生きていたコルネリウスを、神様は異邦人への救いの道を開かれる時の証人とされました。 ペトロは、清くない物を食べるようにと言われた天からの声を、最初は理解できませんでしたが、神様に従順でありたいと願う信仰によって、「神様は人を分け隔てなさらない」ことを知らされ、民族の壁を越えて宣教の使命を果たしました。 私達はこの神様の導きに従って歩む者です。