説教要旨 「救われるためには」 牧師 佐藤 義子

/n[詩編]116編1-7節 1 わたしは主を愛する。主は嘆き祈る声を聞き 2 わたしに耳を傾けてくださる。生涯、わたしは主を呼ぼう。 3 死の綱がわたしにからみつき/陰府の脅威にさらされ/苦しみと嘆きを前にして 4 主の御名をわたしは呼ぶ。「どうか主よ、わたしの魂をお救いください。」 5 主は憐れみ深く、正義を行われる。わたしたちの神は情け深い。 6 哀れな人を守ってくださる主は/弱り果てたわたしを救ってくださる。 7 わたしの魂よ、再び安らうがよい/主はお前に報いてくださる。 /n[使徒言行録]16章16-40節 16 わたしたちは、祈りの場所に行く途中、占いの霊に取りつかれている女奴隷に出会った。この女は、占いをして主人たちに多くの利益を得させていた。 17 彼女は、パウロやわたしたちの後ろについて来てこう叫ぶのであった。「この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。」 18 彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。」すると即座に、霊が彼女から出て行った。 19 ところが、この女の主人たちは、金もうけの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕らえ、役人に引き渡すために広場へ引き立てて行った。 20 そして、二人を高官たちに引き渡してこう言った。「この者たちはユダヤ人で、わたしたちの町を混乱させております。 21 ローマ帝国の市民であるわたしたちが受け入れることも、実行することも許されない風習を宣伝しております。」 22 群衆も一緒になって二人を責め立てたので、高官たちは二人の衣服をはぎ取り、「鞭で打て」と命じた。 23 そして、何度も鞭で打ってから二人を牢に投げ込み、看守に厳重に見張るように命じた。 24 この命令を受けた看守は、二人をいちばん奥の牢に入れて、足には木の足枷をはめておいた。 25 真夜中ごろ、パウロとシラスが賛美の歌をうたって神に祈っていると、ほかの囚人たちはこれに聞き入っていた。 26 突然、大地震が起こり、牢の土台が揺れ動いた。たちまち牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖も外れてしまった。 27 目を覚ました看守は、牢の戸が開いているのを見て、囚人たちが逃げてしまったと思い込み、剣を抜いて自殺しようとした。 28 パウロは大声で叫んだ。「自害してはいけない。わたしたちは皆ここにいる。」 29 看守は、明かりを持って来させて牢の中に飛び込み、パウロとシラスの前に震えながらひれ伏し、 30 二人を外へ連れ出して言った。「先生方、救われるためにはどうすべきでしょうか。」 31 二人は言った。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。」 32 そして、看守とその家の人たち全部に主の言葉を語った。 33 まだ真夜中であったが、看守は二人を連れて行って打ち傷を洗ってやり、自分も家族の者も皆すぐに洗礼を受けた。 34 この後、二人を自分の家に案内して食事を出し、神を信じる者になったことを家族ともども喜んだ。 35 朝になると、高官たちは下役たちを差し向けて、「あの者どもを釈放せよ」と言わせた。 36 それで、看守はパウロにこの言葉を伝えた。「高官たちが、あなたがたを釈放するようにと、言ってよこしました。さあ、牢から出て、安心して行きなさい。」 37 ところが、パウロは下役たちに言った。「高官たちは、ローマ帝国の市民権を持つわたしたちを、裁判にもかけずに公衆の面前で鞭打ってから投獄したのに、今ひそかに釈放しようとするのか。いや、それはいけない。高官たちが自分でここへ来て、わたしたちを連れ出すべきだ。」 38 下役たちは、この言葉を高官たちに報告した。高官たちは、二人がローマ帝国の市民権を持つ者であると聞いて恐れ、 39 出向いて来てわびを言い、二人を牢から連れ出し、町から出て行くように頼んだ。 40 牢を出た二人は、リディアの家に行って兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出発した。 /nはじめに  今日は、伝道旅行先のフィリピで起こった出来事から学びます。パウロ達は祈りの場所に行く途中、占いの霊に取りつかれた女奴隷と出会いました。女奴隷は幾日もパウロ達の後をついてまわり、叫び続けました。パウロはついにこの女に宿る占いの霊と対決して、「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け」と命じました。「イエスの名」には、イエスご自身の力と約束があります。それゆえに、イエス・キリストの名前による命令に、占いの霊は従うしかありませんでした。 /n獄における神様のわざ  この占いでお金をもうけていた主人達は、その道が途絶えたことを知り、パウロとシラスを捕えてローマの執政官に引き渡し、二人が町を混乱させ、非合法な教えを宣伝していると訴えました。群衆も一緒に騒いだ為、高官達は二人の衣服をはぎ取り何度もむちで打ち、投獄し、足かせをはめました。 パウロとシラスは獄の中で、鞭打ちの傷の痛みや、足かせで眠れない苦しみの中にあっても、「賛美の歌を歌って神に祈っていると、他の囚人達はこれに聞き入っていた」(25節)のです。このような時にも讃美して祈る彼らを通して、真のキリスト者は苦しみの中でも神をほめたたえることが出来ることを学びます。その時、突然、大地震が起こり、牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖が外れました。 /n看守の救いへの道  駆け付けた看守は戸が開いているので、囚人たちが逃亡したと思いこみ、自殺しようとしました。パウロは看守に大声で「私達はみなここにいる。」と叫びます。看守は二人に対して、震えながらひれ伏し、尋ねました。 >> <span style="font-weight:bold;">「先生方、救われるためにはどうすべきでしょうか。」</span> << /n救われる道への第一歩  看守の、この「問い」こそが救われる道への第一歩です。 この問いは、「自分は救われなければならない人間である」ことを知らされた者の問いです。看守は、パウロとシラスに出会ったことによって、救われていない自分に気付き、救いを求めたのかもしれません。その他、小説「氷点」のテーマのように、「原罪」という自分ではどうすることも出来ないものを持っていることに気付いたことから救いを求める方もおられるでしょう。或いは、この世の困難と苦しみという八方塞がりの中で、そこから救われる道を求める方もおられるでしょう。そしてその第一歩が、「救われるためにはどうすべきか」との問いです。 /n問いに対する答え >> <span style="font-weight:bold;">「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。」</span> <<  これが答えです。主イエス・キリストが、神の子であり、私の救い主であると信じる決断をして、そのことを公に告白した時、人は救われるのです(ロマ10:9)。パウロ達は看守に神の言葉を語り、家族全員すぐに洗礼を受けました(33節)。洗礼を通して私達は、キリストと共に罪に死に、キリストと共に新しい命に生きます。看守は二人を自宅に招き、食事を共にし、神を信じる者になったことを家族と喜びあいました(34節)。 /n福音のために、すべてを明らかに。  翌朝、執政官たちは、こっそりと二人を釈放するよう部下に命じます。パウロとシラスは、恥と屈辱を加えられたままこっそり町をでることを拒否し、ローマの市民権を持つ自分達に不当な待遇と不法を行ったことに対して、執政官みずからが出向いて牢から連れ出すように求めました。 「釈放」という一つの出来事に対しても、二人は、「福音を恥としない」(ロマ1:16)生き方、福音は確かであることを示したのです。フィリピの町で信仰生活を続けていくキリスト者達や、フィリピの教会の為にもそれは大切なことでした。二人は執政官に見送られ、紫布の商人リディアの家に行き、彼らと交わり励ましてから、次の町に出発していきました。