説教要旨 「テサロニケ伝道とベレア伝道 牧師 佐藤義子

/n[サムエル記下]22:26-32 26 あなたの慈しみに生きる人に/あなたは慈しみを示し/無垢な人には無垢に 27 清い人には清くふるまい/心の曲がった者には策略を用いられる。 28 あなたは貧しい民を救い上げ/御目は驕る者を引き下ろされる。 29 主よ、あなたはわたしのともし火/主はわたしの闇を照らしてくださる。 30 あなたによって、わたしは敵軍を追い散らし/わたしの神によって、城壁を越える。 31 神の道は完全/主の仰せは火で練り清められている。すべて御もとに身を寄せる人に/主は盾となってくださる。 32 主のほかに神はない。神のほかに我らの岩はない。 /n[使徒言行録]17章1-15節 1 パウロとシラスは、アンフィポリスとアポロニアを経てテサロニケに着いた。ここにはユダヤ人の会堂があった。 2 パウロはいつものように、ユダヤ人の集まっているところへ入って行き、三回の安息日にわたって聖書を引用して論じ合い、 3 「メシアは必ず苦しみを受け、死者の中から復活することになっていた」と、また、「このメシアはわたしが伝えているイエスである」と説明し、論証した。 4 それで、彼らのうちのある者は信じて、パウロとシラスに従った。神をあがめる多くのギリシア人や、かなりの数のおもだった婦人たちも同じように二人に従った。 5 しかし、ユダヤ人たちはそれをねたみ、広場にたむろしているならず者を何人か抱き込んで暴動を起こし、町を混乱させ、ヤソンの家を襲い、二人を民衆の前に引き出そうとして捜した。 6 しかし、二人が見つからなかったので、ヤソンと数人の兄弟を町の当局者たちのところへ引き立てて行って、大声で言った。「世界中を騒がせてきた連中が、ここにも来ています。 7 ヤソンは彼らをかくまっているのです。彼らは皇帝の勅令に背いて、『イエスという別の王がいる』と言っています。」 8 これを聞いた群衆と町の当局者たちは動揺した。 9 当局者たちは、ヤソンやほかの者たちから保証金を取ったうえで彼らを釈放した。 10 兄弟たちは、直ちに夜のうちにパウロとシラスをベレアへ送り出した。二人はそこへ到着すると、ユダヤ人の会堂に入った。 11 ここのユダヤ人たちは、テサロニケのユダヤ人よりも素直で、非常に熱心に御言葉を受け入れ、そのとおりかどうか、毎日、聖書を調べていた。 12 そこで、そのうちの多くの人が信じ、ギリシア人の上流婦人や男たちも少なからず信仰に入った。 13 ところが、テサロニケのユダヤ人たちは、ベレアでもパウロによって神の言葉が宣べ伝えられていることを知ると、そこへも押しかけて来て、群衆を扇動し騒がせた。 14 それで、兄弟たちは直ちにパウロを送り出して、海岸の地方へ行かせたが、シラスとテモテはベレアに残った。 15 パウロに付き添った人々は、彼をアテネまで連れて行った。そしてできるだけ早く来るようにという、シラスとテモテに対するパウロの指示を受けて帰って行った。 /nはじめに  パウロ達がフィリピを出て向かった先はマケドニアの首都、テサロニケでした。ここでパウロは三回の安息日にわたってユダヤ人の会堂で伝道しました。パウロの語ったことは、1.メシアは必ず苦しみを受けることになっていたこと(イザヤ書53章4-5など)。2.メシアは死者の中から復活することになっていたこと(詩編16:10など)。3.旧約聖書で預言されていたメシアは今、自分が伝えているイエスであること(イザヤ11:1-)でした。「旧約聖書の預言は、イエス・キリストにおいて成就した!」そのことを、パウロは安息日に会堂に集まって来たユダヤ人およびユダヤ教に関心を持ち、旧約聖書を学んでいる異邦人の人々に語ったのです。 /n力と聖霊と強い確信とによって  後にパウロは、テサロニケ教会宛てにこのように書いています(1:5)。「<span style="font-weight:bold;">私達の福音があなた方に伝えられたのは、ただ言葉だけによらず、力と聖霊と、強い確信とによったからです。</span>」さらに2章初めには「<span style="font-weight:bold;">兄弟達、あなた方自身が知っているように、私達がそちらに行ったことは無駄ではありませんでした。無駄ではなかったどころか、知っての通り、私達は以前、フィリピで苦しめられ、辱められたけれども、私達の神に勇気づけられ、激しい苦闘の中であなた方に神の福音を語ったのでした。</span>」パウロの説教は、テサロニケにおいて、ユダヤ人のある人達と、多くのギリシャ人および、かなりの数の上流階級の婦人達の信仰を呼び起こし、ユダヤ教からキリスト教への改宗者が生れました。 /n妨害  メシアがイエスであると信じた人々は改宗しましたが、信じないユダヤ教徒たちはパウロ達を妬み、暴力で伝道を阻止しようとしました。彼らはパウロ達が滞在していたヤソンの家を襲い、訴えようと探しますが見つからなかったので、代わりにヤソンの家にいたヤソンと数人の人々を捕えて町の当局者に引き渡しました。そして、「彼らは皇帝の勅令に背いて『イエスと言う別の王がいる』と言っている」と訴えました。当時皇帝は絶対でしたから「別の王イエス」と言う言葉は、皇帝に対立する言葉として人々の間には緊張が走り、動揺したことが伝えられています。しかしパウロ達が見つからなかったので、ヤソンは裁判や処罰からは免れ、かくまった罪で保証金を支払い、釈放されました。他のキリスト者は、パウロ達の命を守る為に、直ちに夜の内に、パウロとシラスをベレアに向けて送り出しました。 /n素直・熱心・聖書を調べる  パウロ達はベレアの町でも、ユダヤ人の会堂に入り伝道しました。ベレアのユダヤ人はテサロニケのユダヤ人と比べて素直で、非常に熱心に御言葉を受け入れ、その通りかどうか、毎日、聖書を調べていました(11節)。その結果、多くの人が信仰をもつに至りました。「素直」は、「善良」「良い性質」「礼儀正しい」とも訳されます。 聖書の言葉に触れた時、あるいは説教を聞いた時に、「果たして自分は本当にこのままの生き方で良いのだろうか」と思い始めた時、人は、自分の生涯に対して素直に、礼儀正しく向かい合うことが出来るのではないか、そして次のステップ、すなわち福音を聞く「耳」と、信じる「信仰」が与えられるのではないかと思います。 パウロは後に、「<span style="font-weight:bold;">このようなわけで、私達は絶えず神に感謝しています。なぜなら私達から神の言葉を聞いた時、あなた方は、それを人の言葉としてではなく、神の言葉として受け入れたからです。事実、それは神の言葉であり、また、信じているあなた方の中に、現に働いているものです。</span>」(テサロニケ2:13)と記しています。 /nどのような妨害に会おうとも  テサロニケのユダヤ人達は、ベレアまでパウロ達を追いかけて来て伝道を妨害しました。しかし、どのような妨害に会おうとも、パウロはこのように語っています。「<span style="font-weight:bold;">あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていて下さいます</span>」(一コリント10:13)。 こうしてパウロのヨーロッパにおける伝道は、次の地、アテネへと拡がっていきます。神様がパウロを用いられ、パウロも又、与えられた使命を果たすべく、ひたすら主の業に励んだように、私たちの今週の歩みが主の御用に役立つものとなりますように主の守りの中で、励んでいきたいと願うものです。