「夜中まで続く宣教」牧師 佐藤 義子

/n[詩編]78編1ー8節 1 わたしの民よ、わたしの教えを聞き/わたしの口の言葉に耳を傾けよ。 2 わたしは口を開いて箴言を/いにしえからの言い伝えを告げよう 3 わたしたちが聞いて悟ったこと/先祖がわたしたちに語り伝えたことを。 4 子孫に隠さず、後の世代に語り継ごう/主への賛美、主の御力を/主が成し遂げられた驚くべき御業を。 5 主はヤコブの中に定めを与え/イスラエルの中に教えを置き/それを子孫に示すように/わたしたちの先祖に命じられた。 6 子らが生まれ、後の世代が興るとき/彼らもそれを知り/その子らに語り継がなければならない。 7 子らが神に信頼をおき/神の御業を決して忘れず/その戒めを守るために 8 先祖のように/頑な反抗の世代とならないように/心が確かに定まらない世代/神に不忠実な霊の世代とならないように。 /n[使徒言行録]20章1ー16節 1 この騒動が収まった後、パウロは弟子たちを呼び集めて励まし、別れを告げてからマケドニア州へと出発した。 2 そして、この地方を巡り歩き、言葉を尽くして人々を励ましながら、ギリシアに来て、 3 そこで三か月を過ごした。パウロは、シリア州に向かって船出しようとしていたとき、彼に対するユダヤ人の陰謀があったので、マケドニア州を通って帰ることにした。 4 同行した者は、ピロの子でベレア出身のソパトロ、テサロニケのアリスタルコとセクンド、デルベのガイオ、テモテ、それにアジア州出身のティキコとトロフィモであった。 5 この人たちは、先に出発してトロアスでわたしたちを待っていたが、 6 わたしたちは、除酵祭の後フィリピから船出し、五日でトロアスに来て彼らと落ち合い、七日間そこに滞在した。 7 週の初めの日、わたしたちがパンを裂くために集まっていると、パウロは翌日出発する予定で人々に話をしたが、その話は夜中まで続いた。 8 わたしたちが集まっていた階上の部屋には、たくさんのともし火がついていた。 9 エウティコという青年が、窓に腰を掛けていたが、パウロの話が長々と続いたので、ひどく眠気を催し、眠りこけて三階から下に落ちてしまった。起こしてみると、もう死んでいた。 10 パウロは降りて行き、彼の上にかがみ込み、抱きかかえて言った。「騒ぐな。まだ生きている。」 11 そして、また上に行って、パンを裂いて食べ、夜明けまで長い間話し続けてから出発した。 12 人々は生き返った青年を連れて帰り、大いに慰められた。 13 さて、わたしたちは先に船に乗り込み、アソスに向けて船出した。パウロをそこから乗船させる予定であった。これは、パウロ自身が徒歩で旅行するつもりで、そう指示しておいたからである。 14 アソスでパウロと落ち合ったので、わたしたちは彼を船に乗せてミティレネに着いた。 15 翌日、そこを船出し、キオス島の沖を過ぎ、その次の日サモス島に寄港し、更にその翌日にはミレトスに到着した。 16 パウロは、アジア州で時を費やさないように、エフェソには寄らないで航海することに決めていたからである。できれば五旬祭にはエルサレムに着いていたかったので、旅を急いだのである。 /nはじめに パウロは、エフェソの町のキリスト者達に別れを告げた後、海を渡り、マケドニア州に向かい、信仰者達を励ましながらギリシャにやってきました。ここで3カ月を過ごし、この期間の多くを実際はコリントの町で過ごしたと考えられています(この時パウロはロマ書を執筆したと伝えられています)。 そしてエルサレムに向かうパウロに、又も彼に対するユダヤ人の陰謀があったので、パウロはマケドニア州に戻りトロアスで同行者7名と合流し、別の道からエルサレムへ向かうことになりました。この同行者達はエルサレム教会の貧しい人々を助ける為に、それぞれ異邦人教会からの献金を託されてきた各教会の代表でした。(一コリント16:1-、二コリント8:1-参照) /n「騒ぐな。まだ生きている。」 パウロ達一行はトロアスで一週間滞在します。出発の前日の日曜日に聖餐式を行う為、キリスト者達が集まりました。階上の部屋には沢山の灯火がともされ、そこで、パウロの説教が夜中まで続きました。出窓に腰かけて聞いていたエウティコという青年は、説教の途中から眠ってしまい、三階から落ちて「起こしてみると、もう死んで」いました(9節)。 しかし、パウロは彼の上にかがみ込み、抱きかかえて「騒ぐな。まだ生きている」 と言いました。 パウロの行動は、旧約聖書の預言者エリヤやエリシャ(列王記上17:17-、同下4:18‐)、更にイエス様(マルコ5:35-)のなさった奇跡を思い起こさせます。私達の心は燃えていても肉体は弱いのです。伝道がなされる時、必ずといっていいほど伝道を妨げる出来事が起こります。しかしその時こそ、私達は全てに勝利されたイエス様の御力を信じて歩みたいと思います。 この出来事が起こっても、集会は妨げられることなく予定通り聖餐式が行われ、話は夜明けまで続けられ、青年は生き返りました。 /nパウロの話の内容 パウロはそんなに真剣に、眠ることも忘れて、何を語ったのでしょうか。 この後、エフェソの教会の長老を集めてこのように語る場面があります。「<span style="font-weight:bold;">役に立つことは一つ残らず、公衆の面前でも方々の家でも、あなた方に伝え、また教えてきました。神に対する悔い改めと、私達の主イエスに対する信仰とを力強く証ししてきたのです</span>」。つまり、彼の知る限りのすべて、体験を通して今も生きて働いておられるイエス・キリストの復活の力、神様に対する悔い改めを迫り(神に立ち帰るように)、困難に負けず、イエス・キリストへの信仰を守り抜くよう勧めたことでしょう。 /n私達の信仰 私達はパウロのように、自分の全存在をかけて、もし可能なら夜中迄、明け方までも、愛する家族に友人に、神に対する悔い改めとイエス・キリストに対する信仰を語り伝えたいと願っているでしょうか。或いは又、パウロの話に熱心に耳を傾ける群れの一員として、その時代に生きていたら、自分も明け方までパウロの話を聞きたかった!と願う、御言葉に対する熱心さがあるでしょうか。   ヨハネの黙示録に良く知られている言葉があります。「<span style="font-weight:bold;">私はあなたの行いを知っている。あなたは、冷たくもなく熱くもない。むしろ、冷たいか熱いか、どちらかであってほしい。熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、私はあなたを口から吐き出そうとしている</span>」(3:16)。「<span style="font-weight:bold;">私は愛する者を皆、叱ったり、鍛えたりする。だから、熱心に努めよ。悔い改めよ。見よ、私は戸口に立って、たたいている。誰か私の声を聞いて戸を開ける者があれば、私は中に入ってその者と共に食事をし、彼も又、私と共に食事をするであろう。</span>」(同19-20) /nパウロの一人旅 この後、パウロは一人、徒歩でアソスに向かいました。神様と向き合う静かな時を必要としたのでしょう。とどまることのない、疲れを知らないパウロの伝道は、「<span style="font-weight:bold;">生きるとすれば主の為に生き、死ぬとすれば主の為に死ぬ</span>」(ロマ14:8)彼の信仰からくるものですが、その源は、主イエスと同じように、一人、神と過ごす祈りの時でした。 信仰は「<span style="font-weight:bold;">求めよ、そうすれば与えられ</span>」ます(マタイ7:7)。私達も、神様から力をいただいて、愛する人達に、イエス様のことを力強く証ししていきましょう。