「世界の王への礼拝」  牧師 佐藤義子

ミカ書 5章1節 マタイによる福音書 2章1-15節 /nはじめに 今日読んでいただいた新約聖書は、東方の学者達の来訪の出来事について記されている箇所です。私達が驚かされるのは、救い主がお生まれになったというこのニュースを、ユダヤ人ではなく外国人が最初に受け取ったことです。ユダヤで救い主(キリスト)が生まれることは、旧約聖書で預言されており、今朝読んだミカ書も、その一つです。 どれほど多くのイスラエルの人達が、どれほど長い間、救い主を待ち望みながら、その思いを果たせぬまま、地上を去っていったことでしょう。そして、今、ようやく神様の約束が成就するという大事な時に、イスラエルの人々は、異邦人からこのニュースを聞かされることになりました。 彼らは、星に導かれて、東の方から来た占星術の学者達でありました。 /nひとつの星   民数記に「ひとつの星がヤコブから進み出る。」(24:17)とあります。ヤコブとはイスラエル民族のことであり、ここでは「メシア」が星と表現されています。占星術の学者達が、この「星」のことを聞いており、惑星の運動の法則によって、木星と金星(あるいは木星と土星)が出会い、重なる年があることをつきとめたのではないかと考える説があります。ヘロデ王は、突然、外国からの旅人から「ユダヤ人の王として生まれた方はどこにおられるか」と問われて、あわてて聖書を調べさせ、メシア誕生の地がベツレヘムであることを知ります。それを聞き、学者達はイエス様の誕生の場に立ち会うことが出来ました。   /n不安 不安に感じたのは、ヘロデ王だけでなく、エルサレムの人々も同様であったと聖書は伝えます。本来なら、待ちに待った救い主誕生の喜びのニュースでしたが、「選民ユダヤ人」というエリート意識から来る傲慢さが、異邦人の言葉を素直に聞くことを拒み、世界の王であるキリスト誕生に際して、礼拝の祝福にあずかれなかったのかもしれません。 /n救い主誕生   メシア誕生の場所は、この地上における最も貧しい場所でした。しかし見えるところがどんなに貧しくても、又、一切の華々しさがなくて人目には隠されていても、神様の働きはすべてご計画どおりに進められていきました。学者達をそれまで導いてきた星が、イエス様の誕生の場所で止まった時、彼らは「喜びにあふれ」ました。この「喜び」こそ、救い主が私達の為にお生まれになった、という「喜び」であり、信じる者すべてに与えられる喜びです。神様は、学者達にヘロデの所に戻らないよう命じると共に、ヨセフを通して幼子イエス様とマリアをエジプトに導いたのでありました。 私達は、見える世界だけでなく、目に見えない神様のご計画のもとに、神様を信じて生きて行く道が与えられています。