「救い主降誕の出来事」  伝道師 平賀真理子

イザヤ書12章1-6節 ルカによる福音書2章8-21節 「救い主降誕の出来事」  伝道師 平賀真理子 /nはじめに  今日は、羊飼い達に焦点を当てて、御言葉を読んでいきたいと思います。なぜなら、彼らこそ最初に救い主を礼拝するという栄誉に与(あずか)ったからです。 羊飼いは、当時のイスラエル社会の中では、蔑まれた階層の人々でした。ユダヤ教徒が大事にしている「安息日に礼拝する」ことや、「律法を学び覚える」ことは、職業上困難でした。それで当時、彼らは「不信仰な人々」「罪人に近い存在」とされ、低い立場に甘んじざるを得なかったのです。 /n天使 2000年前、救い主ご降誕のその日、その地方にいた羊飼い達は、いつも通り夜の暗闇の中を、羊を守る為に見張っていました。真っ暗な、厳しい状況の中で、星だけが頼りです。 3月11日の東日本大震災の時、停電のため、一帯の電気が消えて暗闇が広がりました。あの夜、野宿のような形で夜を過ごした人達から、電気の消えた暗闇の恐ろしさ・寒さと、星の美しさをよく覚えていると聞きます。   暗闇の中で仕事をしていた羊飼いたちの所に、突然、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたことに彼らは圧倒されます。そこに現れた天使は、神様からの喜びの知らせである、「救い主ご降誕」を伝える役目を帯びています。羊飼いたちは、光り輝くその眩しさに圧倒されます。 /n救い主(メシア)のしるし     苦しんでいるイスラエルの民に、神様が約束された「救い主」が生まれた、しかも羊飼い達のいる同じ地方で!その待ち焦がれたニュース!その上に天の軍勢として天使達が大勢現れ、讃美を捧げるのです。その出来事、羊飼い達が見聞きした出来事は、彼らが神様の救いの証人に選ばれたことを意味しています。 彼らは、現場・ベツレヘムへ行って、その出来事を見ることを志し、行動を開始します。羊飼い達がいたであろう草地や山から、宿屋のある街まで、暗闇の中、探し当てるにはかなりの困難があったでしょう。 /nメシアのしるし 「布にくるまって飼い葉桶に寝ている乳飲み子」。これが救い主としての「しるし」です。羊飼い達は、そういう新生児を探しあてました。 神様の人間に対する救いの出来事が、主の天使によって知らされた通り行われたことを、羊飼い達は、確かに人々に伝え、神様を崇め、賛美しながら、自分の場所に帰って行きました(20節)。 ユダヤ教の指導者達が語り継いできた「救い主ご降誕」を、虐げられてきた羊飼い達が直接体験するという誉れある立場に高められたことこそ、神様の業の素晴しさの一つ、とも言えるでしょう。 /n大きな喜び 自分の置かれた状況を儚(はかな)んで自分の人生の意味を知りたいともがく苦闘、自分を取り巻く人間関係において信頼を築けずに消えてしまいたいと思う衝動、いつまで厳しい状況に耐えればいいのか不安という暗闇、多くの人が神様を信じることなく、絶望の中を生きています。  しかし、暗闇や過酷な状況に耐えながらも、神様を信じる信仰を失わず、神様からくる御言葉や光を素直に信じる者の、信仰に基づく行動は、その人を真実へと導きます。羊飼いが、天使の言葉を頼りに、救い主を探し求めた姿を私達に置き換えれば、神様の御言葉(聖書)を学んで、神様を祈り求めていく姿なのかもしれません。そして(神様の恵みと導きのもとで)探し当てた喜びは非常に大きくて、抑えきれずに、周りに伝えるほどになるのです。羊飼い達が人知ではあり得ない「しるし」を受け入れてイエス様に導かれた時の、あの大きな喜びと同じ喜びです。