「神のものは神に」  伝道師 平賀真理子

/n出エジプト記 20:4-6  /nマルコ福音書12:13-17 /nはじめに イエス様の地上での最後の一週間の三日目の出来事です。この日イエス様を神殿から追い出そうとして、祭司長、律法学者、長老達はイエス様の言葉じりをとらえて陥れる為、ファリサイ派やヘロデ党の人をイエス様のところに遣わしました。ファリサイ派とヘロデ派は、本来は、相いれない者同士です。しかし「イエス追放」という共通の目的に向かって、一時的に手を結んでいます。彼らは、自分達の敵意を隠す為に、イエス様を褒め(「あなたが真実な方であることを知っています」)、イエス様を油断させ、失言を引き出そうと考えたようです。 /n言葉のわな 彼らはイエス様に「あなたは・・真理に基づいて神の道を教えておられるからです」と敬意を装った後、「皇帝に税金を納めることは律法に適っているでしょうか」と質問したのです。この質問は、神の民であるイスラエル民族が、異邦人の国の皇帝に税金を納めることの是非を問うものです。「納めるべき」と答えれば、「異邦人支配を容認した」と責めることが出来ます。又、民衆は重税で苦しめられていたので、イエス様の人気は失墜するでしょう。「納めるべきでない」と答えれば、ローマ寄りのヘロデ派の人々が黙っていません。どちらに答えてもイエス様を追い込めます。 /n「銀貨を持って来て見せなさい」 しかしイエス様は人の心に何があるかを知っておられる方です。彼らの 醜い意図を見抜きつつ、それでも忍耐して質問に答えるため、まず彼らにローマのデナリオン銀貨を確認させました。貨幣にはローマ皇帝の肖像と銘がありました。イエス様は、「皇帝のものは皇帝に」と言われ、その後で更に、「神のものは神に返しなさい。」と答えられたのです。   /nこの世の大原則 イエス様の答えは、納税だけでなくこの世の大原則を示されています。それは、神様が本来この世を造られたのであるから、この世のすべては神様に返されるべきものであるということです。神様の造られた世界にあって、皇帝などは一時的に権力を借りているにすぎず、その繁栄も一時的なものです。しかも権力をめぐり、この世は、残忍、嫉妬、狡猾、欺瞞などが渦巻く世界になってしまいました。 /nイエス様の目的 神様は人間を深く熱烈に愛しておられたので、サタンのわなによって悪に染まった人間とこの世を、神様が本来造った性質に取り戻すために、最終的に御子イエス様をこの世に送り、イエス様の歩みを通して救いのご計画を実行されたのでした。「もともと神のものであった人間やこの世を、神に返す」。これこそイエス様が来られた目的です。イエス様の十字架の血潮に贖われて、神様のものとされた信仰者の私達は、本当の意味で神様に返されるにふさわしいものとなっているでしょうか。 /n神様の祝福 今日の旧約聖書には、「私を愛し、私の戒めを守る者には幾千代にも及ぶ祝福を与える」とあります。神様のことを第一に思い、その御心を知り、御言葉を守る者に、神様は永遠に祝福を与えて下さいます。 私達はイエス様の教え、弱い者への愛、へりくだりの心を中心に、誠実に生きることが求められているのではないでしょうか。日々の祈り、聖書の学び、愛に基づいた働き、そして主日ごとの礼拝によって、神様のものとされた私達の霊に、神様の像が深く刻まれていくのです。 「どうか、“霊”によるあらゆる知恵と理解によって、神の御心を十分悟り、すべての点で主に喜ばれるように主に従って歩み、あらゆる善い業を行って実を結び、神をますます深く知るように。…御父は、私達を闇の力から救い出して、その愛する御子の支配下に移して下さいました。私達は、この御子によって、贖い、すなわち罪の赦しを得ているのです。」                        (コロサイ1:9-)。