「終末についての御言葉(2)」  伝道師 平賀真理子

/n申命記30:1-6、11-14 /nマルコ13:14-27 /nはじめに  前回は戦争、地震、飢饉、迫害の記述がありましたが、その一つ一つの出来事に怯える必要はなく、サタンが支配する古い世界から、イエス様の勝利による、神様の愛の広がる新しい世界が生まれる希望を見い出しました。私達はそれぞれに与えられた持ち場において福音を広める為、福音に生きる証し人となることだけに心を砕いて歩めばいいと知らされました。 /n大きな苦難  今日の聖書では不可思議な言葉が出てきます。「憎むべき破壊者」「山に逃げろ」「下に降りるな」「物を取りに家に戻るな」「身重の女と乳飲み子を抱えた女は不幸だ」「このことが冬に起こらないように祈れ」など・・。 この意味を理解するため、先週の礼拝で学んだ「神殿奉献祭」の起源ともなったマカベア戦争についてお話したいと思います。 イエス様が生まれる160年程前アンティオコス4世(エピファネス)がユダヤ地方を治めることになりましたが、彼はギリシャ・ローマの神々への信仰をイスラエルの民にも強要し、エルサレム神殿にゼウスなどの偶像を入れて、それを拝ませました。偶像礼拝を避けていたイスラエルの民にとり、それは赦しがたい冒涜でした。「憎むべき破壊者」は、多神教の偶像、又は異民族の支配者のことです。彼は残虐にも都を破壊し、火を放ち、民を殺害し、武力で支配しました。「家に戻るな」は、焼き尽くされる町の巻き添えになって殺されるからです。立ち上がったイスラエルの人々は、山にあるエルサレム神殿で祈ってから戦いを挑み、抵抗運動が成功したことが背景となり、「山に逃げる」という表現になっていると思われます。さらにアンティオコス4世は、安息日や割礼などの律法を守る者の処刑を命じました。割礼は幼児に施されたこと、又、冬の戦いで餓死者が多く出たことなどから、「身重の女と乳飲み子を抱えた女は不幸だ」「冬に起こらないように祈れ」と、勧めているように考えられます。 イエス様は、あのアンティオコス4世の時よりも尚、大きな苦難が来ることを預言されました。それはかなり絶望的で覚悟のいることです。しかしその絶望の極みの時でも、イエス様が御自分の者として選んだ者の為に、苦難の期間を短くし、救われる者がいるようにすると約束されました。それは、主を信じる者にとっての大きな希望であり、救いです。 /n偽メシアの出現  21・22節は、偽メシアや偽預言者を信じるなとの警告です。にせ者達が「しるしや不思議な業を行う」とあります。本者か偽者かの区別は難しいように思われますが、私達の主、イエス様が私達に下さったのは、「奇跡」と同時に「福音」でした。イエス様は人々に神の御心や救いのご計画、悔い改め、神の国の民の理想を指し示して下さいました。更に、そこに聖霊が働いているかどうかは、本者かどうかを区別するサインです。イエス様は相手に対する憐れみと信仰への応答として奇跡の業を行われましたが、偽者達は自分の利益の為に人を利用しました。 /n「だから、あなた方は気をつけていなさい。・・前もって言っておく。」 表面的なものに気を取られ、イエス様の使命の重大さを理解しきれていない弟子達を前に、イエス様は、終末について教え、惑わされないように警告されました。この世の支配者(サタン)に勝利されたイエス様が教えられた「終末の徴」を、私達も、弟子達に連なるものとして学ぶことが出来、この世に対する最終的な勝利をイエス様と共有する幸いを与えられています。終末を待ち望みながら生きる者として、私達が今、なすべきことは、福音を信じる者として、主の前に恥じることのない信仰者として、信仰の成長を祈り求めることではないでしょうか。 自分に本当の意味での幸いを与えて下さるきっかけとなった福音を、あらゆる人々に広める為に、少しでも役に立てるように生きていきたいと願います。そのような働きが少しでもできるように、今週もまた、聖霊の助けを祈ってまいりましょう。