5月22日の説教要旨 「使徒ペトロの説教」 牧師 平賀真理子

詩編16711・使徒言行録222243236

 はじめに

今日の箇所の直前には「ペンテコステの出来事」が記されています。

「イエス様を信じる者達が心を一つに集まっていると、聖霊が降った。それはイエス様が事前に約束されたとおりだった。そして、聖霊を受けた者達は、自分の知らない外国語で、神の偉大な業を語っていた。」のでした。その「神の偉大な業」という話の内容は具体的に何だったのか、それが、今日の箇所「ペトロの説教」に集約されていると思われます。

 預言されていたとおりの「聖霊降臨」

自分でもわからない外国語で信徒達が語っているという現象は、酔っ払いの戯言ではなく、旧約聖書のヨエル書で神様が預言者を通して預言してくださったことの実現であり、それが本当に起こっているのですよ、そして、それには大きな意味があるのですよとペトロは説明していくのです。

 「ナザレの人イエスこそ、神から遣わされた方です」(22節)

このペトロの説教の聴衆は、エルサレムの町に住んでいて、「聖霊降臨の出来事」に驚いて集まった人々です。彼らの多くが、イエス様を「ナザレの人イエス」と呼んでいました。病人の癒しや自然現象を越えた奇蹟等、人間の力ではありえない、神様の御力をいただかなければできない出来事を数多く行い、噂になっていた御方です。それを妬んだユダヤ教指導者が政治的権力を持つローマ人に訴え、イエス様を十字架に付けたことも聴衆の多くが知っていたはずです。十字架の時に起こった様々な不思議な出来事もよく知られていました。でも、それだけではありません。

 「神はこのイエスを死の苦しみから解放し、復活させられました」(24節)

24節は、神様が愛する者を死の世界に閉じ込めたままにしない(「復活」)と述べていますが、それを詩編16章10節から裏付けています。この詩は、ユダヤ人達が敬愛するダビデ王が神様に向かって謳った詩です。詩編16章10節では「わたしの魂を陰府(死者の行く世界)に渡すことなく、あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させず」となっており、それを引用した使徒言行録2章27節では、「わたしの魂を陰府に捨てておかず、あなたの聖なる者を朽ち果てるままにしておかれない」となっています。どちらの方も、ここで謳われた「わたし」が誰なのかが問題です。ペトロが話したように、ダビデ王の詩とはいえ、ダビデは死んでお墓もあるので、この詩の「わたし」には該当しません。それが、ダビデの子孫でもあったイエス様を指しているとペトロは説明しているのです。だから、イエス様は、ユダヤ人が敬愛するダビデ王が預言した「神様が復活させてくださった方」なのだとペトロは語ります。そして、この説教前に立ち上がった使徒達(2:14)は、復活の主に40日間出会い、教えを受けたことも事実だ(1:3)と証しできるとペトロは彼らを代表して堂々と語ったのです。

 十字架、復活、そして高挙

33節にあるように、十字架に付けられた主は、死の世界に勝利して復活されただけでなく、神がおられるという「天」に引き上げられ、神の右に座られています。これを「高挙」と言います。天に高く挙げられたのです。だから、神の霊である「聖霊」を父なる神様から受けて信じる者達に注いでくださることができるのです。

(「高挙」は、ルカによる福音書とその続編と言われる使徒言行録で特に明確にされています。)

 「あなたがたが十字架に付けて殺したイエスを、神は主とし、メシアとなさった」

ペトロの説教の結びの36節の御言葉を通して、人間の罪深さにもかかわらず、それでもなお、神様は人間を救おうとしてくださっている、そのような神様の愛の大きさとその御業の確かさを思い起こすことができると思います。その救いの御業とは、具体的には、イエス様の宣教と十字架と復活と高挙ですが、その先には、イエス様を信じる者達に聖霊が注がれて、自分では思ってもいない力が与えられるという望みを感じることのできる説教だと思います。

 聖霊を受けた後に「使徒」にふさわしい説教をするように用いられたペトロ

この説教をしたペトロは、人間的な考えによって様々な失敗をして、イエス様から度々指導を受けた人物として、福音書に記されています。生前イエス様が、そばに置いて、宣教できるよう教育し、この世の悪霊を追い出す権能を授けようと「使徒」に選ばれたのですけれども、聖霊を受けた後になって初めて、ペトロは「使徒」にふさわしい説教ができたと示されています。聖霊を受けると、このように、自分を越えた所で神の御業の一部を担わせていただく働きに用いられます。私達も「使徒」の流れの中に置かれる者達です。「使徒」に倣い、聖霊を受けて神の御業のために用いられるよう、聖霊の助けを更に祈り求めましょう。

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