「洗礼者ヨハネの使命」 平賀真理子 伝道師

/n[マラキ書] 3章23-24節 23 見よ、わたしは/大いなる恐るべき主の日が来る前に/預言者エリヤをあなたたちに遣わす。 24 彼は父の心を子に/子の心を父に向けさせる。わたしが来て、破滅をもって/この地を撃つことがないように。 /n[マルコによる福音書] 6章14-29節 14 イエスの名が知れ渡ったので、ヘロデ王の耳にも入った。人々は言っていた。「洗礼者ヨハネが死者の中から生き返ったのだ。だから、奇跡を行う力が彼に働いている。」 15 そのほかにも、「彼はエリヤだ」と言う人もいれば、「昔の預言者のような預言者だ」と言う人もいた。 16 ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首をはねたあのヨハネが、生き返ったのだ」と言った。 17 実は、ヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアと結婚しており、そのことで人をやってヨハネを捕らえさせ、牢につないでいた。 18 ヨハネが、「自分の兄弟の妻と結婚することは、律法で許されていない」とヘロデに言ったからである。 19 そこで、ヘロディアはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。 20 なぜなら、ヘロデが、ヨハネは正しい聖なる人であることを知って、彼を恐れ、保/護し、また、その教えを聞いて非常に当惑しながらも、なお喜んで耳を傾けていたからである。 21 ところが、良い機会が訪れた。ヘロデが、自分の誕生日の祝いに高官や将校、ガリラヤの有力者などを招いて宴会を催すと、 22 ヘロディアの娘が入って来て踊りをおどり、ヘロデとその客を喜ばせた。そこで、王は少女に、「欲しいものがあれば何でも言いなさい。お前にやろう」と言い、 23 更に、「お前が願うなら、この国の半分でもやろう」と固く誓ったのである。 24 少女が座を外して、母親に、「何を願いましょうか」と言うと、母親は、「洗礼者ヨハネの首を」と言った。 25 早速、少女は大急ぎで王のところに行き、「今すぐに洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、いただきとうございます」と願った。 26 王は非常に心を痛めたが、誓ったことではあるし、また客の手前、少女の願いを退けたくなかった。 27 そこで、王は衛兵を遣わし、ヨハネの首を持って来るようにと命じた。衛兵は出て行き、牢の中でヨハネの首をはね、 28 盆に載せて持って来て少女に渡し、少女はそれを母親に渡した。 29 ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、やって来て、遺体を引き取り、墓に納めた。 /nはじめに  今日の聖書は、イエス様の素晴らしい御業の噂が広まりガリラヤの領主ヘロデ王にもその噂が届いたこと、ヘロデ王はイエス様を、自分が処刑した「洗礼者ヨハネ」の生き返りの人物として恐れたことが書かれています。 /n洗礼者ヨハネ  ヨハネはイエス様の親類であり、祭司の息子でもあり、由緒正しく、荒野で禁欲生活をしていた人物でした。ルカ福音書に「神の言葉がザカリヤの子ヨハネに降った」とありますから、ヨハネは神の言葉を託され、選ばれた「預言者」でした。約四百年間、預言者は出ていませんでしたので、久々に優れた人物を見た民衆の中には、ヨハネこそ「救い主」ではないかと期待した者もいました。しかしヨハネは「わたしは荒れ野で叫ぶ声である。『主の道を真っ直ぐにせよ』と。」と語り、自分は「救い主が来る前に人々の心を神様に向ける」救い主の「先駆者」にすぎないと答えています。このヨハネがイエス様に洗礼を授けた時、イエス様の上に天から聖霊が降り「これは私の愛する子。これに聞け」という神様の声がしました。ヨハネは「この方こそ神の子である」と証ししたと聖書に記されています。 /nヘロデ・アンティパス  ヘロデ大王の息子、アンティパスは、兄弟の妻を盗るという律法違反を犯しました。ヨハネは決然とこのヘロデ王を断罪しました。やましさを感じていたヘロデ王はヨハネを捕えて牢に入れ、自分の悪評を封じ込めようとします。悪は公けになるのを嫌い、隠れたがります。それでもヘロデ王は<span style="font-weight:bold;">「ヨハネは正しい聖なる人であることを知って、彼を恐れ、保護し、その教えを聞いて非常に当惑しながらも、なお、喜んで耳を傾けて」</span>いました。 /nヘロデ王、ヨハネを殺す  しかし彼は、妻や娘の悪だくみと自分の見栄やメンツによりヨハネを殺してしまいます。「王は非常に心を痛めた」(26節)とありますから、かなり不本意な結果だったのでしょう。欲望に流されて決断の基準がない人間の愚かさが表れています。彼は、正しいと信じた預言者を殺してしまったことに自責の念を持っていました。それで、死んでしまったヨハネをその後も恐れていて、イエス様のうわさを聞いた時、洗礼者ヨハネが生き返ったと恐れたのです。 /nヨハネとイエス様の死  洗礼者ヨハネの生涯は、神の子・イエス様の生涯を予め示しています。この世の権力者が不正な方法で(とても納得できない形で)、神様が遣わした正義の人を殺す。洗礼者ヨハネは権力者ヘロデ王に、そしてイエス様ご自身も、当時の宗教指導者や政治権力者に殺されました。どちらも正しいことをきっぱりと述べたことによる、権力者側の反発からでした。 /nメシアが来る前にエリヤが来るとの預言  当時、「メシア(救い主)が来る前にエリヤが現れる」(マラキ書)と言われていました。イエス様は、<span style="font-weight:bold;">「その人はすでに来た。しかし人々は彼を認めず、好きなようにあしらったのである。人の子(ご自分のこと)も、そのように人々から苦しめられることになる。」</span>と言われ、それは、洗礼者ヨハネのことだと弟子たちが悟った、と、マタイ福音書にあります(17:12-13)。 こうして、すべての預言は成就していきました。 /n受難節  今は受難節です。イエス様が早い時期から、人々の罪を贖うために、苦しみの道、死の道を覚悟されていたことを覚え、人間としての罪の重さを思い、主の贖いへの感謝の思いを強くしたいと思います。神様の基準に自分を合わせずこの世の浅はかな価値観、自己中心的な考え方・・から遠ざかれるよう、祈り求めたいと思います。具体的には、この世に力を持つ「悪魔」の策略に対抗して立つことができるように、神様が与えて下さる武具(エフェソ6:10-)を身につけたいと思います。