箴言

  • 箴言の通読に向けて

月曜日  1: 1~ 9:18  知恵のすすめ

火曜日 10: 1~22:16 ソロモンの箴言

水曜日 22:17~24:34 賢人の言葉

木曜日 25: 1~29:27 ソロモンの箴言(補遺)

金曜日 30: 1~31:31 アグルとレムエルの言葉、有能な妻

【箴言について】

 箴言の目的は、人生の実際的な側面に光を当て、先代に蓄積された知恵を後の世代に伝えることにある。この知恵は、しばしば、日常生活の鋭い観察に基づいている。

 箴言の本論部分(10:1-22:16)は、ソロモンが語ったとされる短い格言的な言葉の集成からなる。ここで「箴言」と訳されているヘブライ語の言葉は、それに対応する英語(proverb)などよりもずっと広い意味を持ち、「ことわざ」や「神託」(どちらも、人間の知恵の集成に神が関与していることを示唆する)を意味することもある。

 聖書の伝承では、ソロモンは際立った知恵の持ち主だった。彼が「語った」格言は3000に上るとされる(列王記上5:12)。聖書の箴言に収められた格言はその7分の1にも上る。・・・

 箴言は、厳密に遵守されるべき律法として扱われるように意図されているわけではない。具体的な状況で人がどのように振る舞えばよいか、実際的な指針をあたえる為のものである。人間関係は非常に複雑なので、それに対処するためには識別力と知恵が必要である。

(マクグラス、264頁より)

【箴言の知恵】

 「知恵」がまず意味するのは、理論的・原理的な問題に答えることができるというよりは、日常生活でやっていける、物や人とうまくやっていくことができる能力である。・・・知恵とは一言で言えば経験知なのである。経験知は、生活の諸事象を観察し、比較可能なものを整理し、法則を認識することである。・・・知恵が目指すのは、危険と損害を遠ざけ、正しく、人々に認められる、成功した人生への道を見いだすことである。

知恵は、特殊イスラエル的なものではなく、オリエントに共通なものである。・・・知恵的思考というものは、長い歴史を持つ。それは、人生の経験を形成している個々の箴言(サム上24:14、箴10:1以下、25:1以下)からヨブ記の対話やコヘレトの言葉の中の長い、神学的な反省にまで及ぶ。

知恵は王の宮廷で培われたとも考えられるが、知恵はもともと家庭の中で、その教育にあったはずである。箴言の知恵は、誰でもが語りかけられており、特定の身分の者に対してだけではない。

 箴言の知恵は、経験を伝えるというその目的のために色々な語り方を使っている。それは、①事実を述べる言葉(マーシャル・格言ないし評決)、②比喩の言葉や直喩の言葉、③数を挙げる格言、④二つの事柄を対比させ、第一の事柄を肯定的に評価し、第二の事柄を否定的に評価する直喩のひとつの独特な形態(~ではなく、○○が良い)、⑤勧めの言葉などである。

 ソロモンの箴言は、おそらくもともと別々に集められたものから成り立っていて、箴言のテーマは多様である。しかし最終的には、神への畏れ-それは同時に神への信頼である-が正しい知恵である。

(シュミット、下巻224-233頁より)

【箴言1:7】 

「主を畏れることは知恵の初め。無知な者は知恵をも諭しをも侮る。」