雅歌

  • 雅歌の通読に向けて

月曜日 1: 1        題名/1:2~ 2:7  第1の出会い

火曜日 2:8~ 3:5 第2の出会い

水曜日 3:6~ 5:1  第3の出会い

木曜日 5:2~ 6:3 第4の出会い

金曜日 6:4~ 8:4 第5の出会い/  8:5~ 8:14 結び

【雅歌について】

 雅歌のヘブライ語の書名は、 シール・ハッシーリームで、歌の中の歌=最も素晴らしい歌という意味がある。この書物は、ユダヤ教にとって最も大切な、出エジプトを記念する過越際で朗読される。

 多くのキリスト教著述家は、これをキリストと教会の愛のアレゴリー(寓意・ある概念を他の具象的な事柄によって表現すること)と見てきた。また、これをキリストと個々の信徒との関係の比喩(つまり表象や象徴)と見てきた者もある。つまり、この作品は、人間の愛をたたえる賛歌というよりも、教会や個々の信徒達へのキリストの霊的な愛を語る詩的、あるいは比喩的なやり方と解釈される。

 雅歌はいくつもの部分に分かれ、そのうち、最も目立つのは、恋人達の5つの出会いである。最も役に立つ読み方は、一つずつの出会いをひと時に読み、恋人と出会うまでの期待と期待が実現したときの喜びを十分に味わうように努めることである。恋人達の出会いと喜びと、神の家に帰る信仰者の喜びの間には、疑いもない類似がある。

(『旧約聖書略解』720頁・マクグラス、277頁参照。)

【第1の出会い】

 愛する人との最初の出会いを楽しみに待つ一人のおとめは、彼が自分を好きになってくれるかどうかなどについ心配している。冒頭の重要な主題の一つは、人間は愛が必要だということである。

【第2の出会い】

 今や二人の関係は発展しているが、おとめは不安と疑いに悩む。愛する人は彼女を見つけ、一緒に田園に出ようと彼女を誘う。彼女の恋人は高貴な人であることは示唆されているが、彼は彼女を支配するのではなく、彼女を愛する人らしく彼女に接している。

【第3の出会い】

 前回の出会いでの心配は去り、おとめは今、恋人の一途な愛を確信している。彼女が恋人との結婚の準備をしている間に、彼女自身の地位はあがり、彼の地位と富を分かち持つことになる。このイメージは新約聖書でも繰り返され、信仰者がキリストの属性を分かち持つことが描かれている(Ⅱコリント5:21)。

【第4の出会い】

 恋人達は結婚したが、自分が愛する人に対して冷たくなっているのに気付き、その冷たさを悔やむ。しかし彼は行ってしまった。彼女は再び愛する人を探しまわる夢をみて、彼への愛を再確認する。

【第5の出会い】

 おとめは自分の愛する人との関係を考え、富や豪華さではなく、最初の愛の場所に戻りたいと願う。

【結び】

 物語は、人生に意味を与える愛の重要さと、愛はいかに手をかける必要があるかを語っている。最も愛し合う関係でさえも、世話と再生が必要である。雅歌は、信仰者たちがキリストとの関係を持続させ、それを当然と思わないでいる必要性を理解させてくれる。

(マクグラス、278-279頁参照。)