今週のみことば

★ 民数記:シナイからカナンの地の入り口までの荒野の旅
月曜日  1: 1~ 4:49 第1回人口調査と氏族の詳細
火曜日  5: 1~10:10 規定の指示と幕屋
水曜日 10:11~20:13 シナイ出発と荒野での出来事
木曜日 20:14~26:65 迂回の歩みと第2回人口調査
金曜日 27: 1~36:13 後継者と主の命令・法

【モーセ5書/律法(Torah)全体の区分の一例】
1.創 1章-11章  「世界と諸民族の起源」
2.創12章-50章  「父祖とイスラエルの歴史のはじめ」
3.出 1章-18章 「エジプト滞在と脱出によるその結末」
4.出19章-民10:10 「イスラエルのシナイ滞在」           5.民10:11-申34章                          「シナイから約束された地の入り口までのイスラエルの行進」      (エドモン・ジャコブ『旧約聖書』白水社、2006年、41-42頁。)

【民数記について】
民数記は、ヘブライ語聖書の「荒れ野にて」という名の通り、約40年の荒野の旅の出来事を中心に、5書の特徴でもある様々な規定や暦、土地取得に関する話が記されています。約束の地を目前にしながら大きく迂回して、ようやくヨルダン川を渡る手前に辿り着くまでの話が記されています。またイスラエルの民族の数が多く記されているため、七十人訳聖書(LXX)ではἈριθμοί (アリソマイ=数・Numbers)とされ、日本語の聖書も民数記となっています。

【27章における2つの継承物語】
① 娘たちの土地継承
ツェロフハドには息子がなく娘たちだけでしたが(民26:33・1歴代7:15)、娘たちが指導者と共同体全体の前に進み出て、名の継承を申し出たことによって、一族の嗣業の土地(神様との契約の証し、祝福の証しでもある土地)の授与が約束されます(民27:1-11)。
このことは民数記36章において、「相続人が女性である場合の規定」として確立され、家族に息子がいない場合でも、主から与えられた嗣業の土地を氏族ごとに固く守ることが出来るようになりました。  
そして、ヨシュア記17:3-4において、確かにツェロフハドの娘たちが嗣業の土地を受け継いでいることが確認できます。
② モーセの死の宣告と後継者ヨシュアの任命・メリバの水
モーセの最期の物語とヨシュアの任命は、申命記31章からも詳しく記されていますが、死の宣告をされたモーセが、ここで真っ先に願ったことは、残される共同体の為に、次の導き手となる後継者が与えられることでした。主はこの祈りに応え、ヨシュアを任命しました。
モーセが約束の地に入れない理由として「メリバの水(民20:1-13)」の出来事が語られていますが、同じ理由でアロンも約束の地に入る前に亡くなっています(民20:22-29)。「メリバの水」とは、モーセとアロンの姉妹であるミリアムが死に、再び飲み水がなくなった民が、モーセとアロンに反抗した際の場面を指します。主はモーセに「・・・杖を取り・・・岩に向かって、水を出せと命じなさい・・・」と指示しますが、モーセは主の言葉に従わず、杖で岩を2度打って水を出しました。
主が最初にメリバで水を与えて下さった時は(出17:1-7)、「ナイル川を打った杖(出7章)を持って行き、岩を打てば水が出る」と指示され、モーセは杖に与えられた力を再び経験します。しかしこの経験の過信が、神の言葉を軽視する誘惑の一つになったのかもしれません。