2021年11月7日の説教要旨 創世記15:1-18・ヤコブ書2:14-26

「神に選ばれた民」         加藤秀久 伝道師

*はじめに

本日お読みした創世記には、神様がアブラハムに希望を与え、勇気づけることが記されています。

神様は、「恐れるな、アブラムよ。わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは非常に大きいであろう。」と語られましたが、アブラハムは主に尋ねました。「わが神、主よ。わたしに何を下さるというのですか。わたしには子供がありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです。」と答えています。エリエゼルはアブラハムの家の僕であり、古代文書によれば、当時、子供のいない家庭では所有していた奴隷を養子にして主人夫婦の世話と埋葬を条件に、財産相続の制度があったようです。※(アブラハムの名前はこの時は、まだ、アブラム「高められた父、高貴な父」という名前でしたが、17章に入ると主からアブラハム「諸国民の父」という名前が与えられました)。

*「あなたから生まれる者が跡(あと)を継ぐ」(4節)

神様は、アブラハムの家を継ぐのは僕のエリエゼルではなく、アブラハムから生まれる者であること、12章では「あなたを大いなる国民とし」(2節)、13章で「あなたの子孫を大地の砂粒のようにする」(16節)、本日の15章では、「天を仰いで、星を数えて見るがよい。あなたの子孫はこのようになる」(5節)と約束されました。

続く6節で「アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた」とあります。「主を信じた」の元の言葉では「主によって信じさせられた」となります。アブラハムは、これから起こることに対する神様への期待感、将来への希望を持つことができ、神様のわざに同意することで信じたのです。アブラハムの偉大な信仰は、神様の言葉を素直に信じたところにあります。神様に出来ないことはないと素直に信じたアブラハムの信仰は、神様から「義」と認められた(神様の前に正しいと認められ受け入れられた)のです。(さらに7節で)、神様は、ご自分がアブラハムをカルデアのウルから導き出したことを告げ、この土地を与えて継がせると約束されました。

*約束の保証を求めたアブラハム

 神様の、土地を継がせるとの約束に対してアブラハムは「何によって(そのことを)知ることができましょうか」と約束の実現の保証を求めました。神様は、その求めに応じられ、契約の儀式に必要な「三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩のひな」を持って来るように命じられ、アブラハムは、それらの犠牲を、契約の内容に沿う形でささげました。(エレミヤ書34:18-20参照)。

 このあと、アブラハムは深い眠りに襲われ、神様の声を聞きます。それは、アブラハムの子孫に将来起こる出来事(エジプトでの奴隷時代および出エジプト)の予告です。そして17節で、暗闇におおわれた頃「煙を吐く炉と燃える松明(たいまつ)」が、用意された動物のいけにえの間を通り過ぎたことで、神様との契約が結ばれたことが記されています

*信仰が行(おこな)いと共に働く

本日のヤコブ書には、アブラハムのことが記されています。

アブラハムは神を信じた。それが彼の義と認められたという聖書の言葉が実現し、彼は神の友と呼ばれた」(23節)とあります。著者は、アブラハムが息子のイサクを献げたという行(おこな)いを取り上げて「アブラハムの信仰がその行いと共に働き、信仰が行いによって完成された」(22節)と伝え、行いの伴う信仰こそ生きた信仰であると述べます。

*召天者記念礼拝

 本日は、11月第一聖日にもたれる召天者記念礼拝でもあります。前に飾られた写真の方々の信仰を思い起こしつつ共に集まり、礼拝を献げる日でもあります。信仰の先輩達は、信仰の歩みを続けていく時、ここにいる私達と同じように、神様の前で悩み、苦しみ、恐れ、神様を見失いそうになったこともあるでしょう。しかし、そのような中にあっても、周りの人達を思いやり、気にかけ、お祈りに覚えて下さり、イエス様と同じような眼差しで私達を見ていて下さいました。先輩達は神様を見続け、顔を上げて前を向き、神様に感謝の気持を持ち続けていました。私達も同じように、神様に望みを置き、今週の歩みを始めて参りましょう。