「キリストの証人となる」 牧師 佐藤 義子

/n[申命記] 10章12-14節 12 イスラエルよ。今、あなたの神、主があなたに求めておられることは何か。ただ、あなたの神、主を畏れてそのすべての道に従って歩み、主を愛し、心を尽くし、魂を尽くしてあなたの神、主に仕え、 13 わたしが今日あなたに命じる主の戒めと掟を守って、あなたが幸いを得ることではないか。 14 見よ、天とその天の天も、地と地にあるすべてのものも、あなたの神、主のものである。 /n[使徒言行録] 1章6-11節 6 さて、使徒たちは集まって、「主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのは、この時ですか」と尋ねた。 7 イエスは言われた。「父が御自分の権威をもってお定めになった時や時期は、あなたがたの知るところではない。 8 あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」 9 こう話し終わると、イエスは彼らが見ているうちに天に上げられたが、雲に覆われて彼らの目から見えなくなった。 10 イエスが離れ去って行かれるとき、彼らは天を見つめていた。すると、白い服を着た二人の人がそばに立って、 11 言った。「ガリラヤの人たち、なぜ天を見上げて立っているのか。あなたがたから離れて天に上げられたイエスは、天に行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになる。」 /nはじめに  使徒言行録は、本日の聖書の1章8節が主題であるといえます。 >> 「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリヤの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」 <<  この言葉は、復活されたイエス様が昇天される直前に弟子達に語られた言葉です。そしてイエス様のお言葉通り、このあと約束の聖霊が弟子達に降り、弟子達は力を受けてエルサレムからはるかかなたの、当時の世界を象徴するローマへと福音を宣べ伝えていきました。使徒言行録は、イエス様のこの言葉が、どのように実現していったのかを私達に示してくれます。イエス様が約束された聖霊とはどのようなものか、さらに、使徒言行録という表題がついていますが、主役は使徒ではなく神様から送られた聖霊であることをご一緒に学んでいきたいと思います。 /n弟子の質問  「イエスは苦難を受けた後、ご自分が生きていることを・・使徒達に示し」(1:3)、「あなたがたはまもなく聖霊による洗礼を授けられる」(1:5)と約束されました。弟子達はイエス様に、「イスラエルに与えられた約束はいつ実現するのか」と質問します。かつてユダヤの民はダビデ王のもとで安全と平和の内に生きていましたが、民の神に対する不信仰・不服従の罪の為に、国は異邦人(バビロニア、ペルシャ、ギリシャ、ローマなど)の支配下に置かれてきました。けれども人々は、預言者を通して語られたこと、<神が再びイスラエルに王を与えて下さり、民は支配と自由とを獲得できるとの約束>を聞き、「メシア(救い主)」を待望していたからです。  弟子達は復活されたイエス様を仰ぎ見て、今こそイエス様が新しいイスラエルを建設されるその時が来たのではないかと考えました。弟子達にとって、この質問の答は、旧約聖書の預言の約束を人々にどのように宣べ伝えていくかを決定する重要なものでした。 /n父が・・お定めになった時や時期は、あなた方の知るところではない。  弟子達が知りたいと思って尋ねた質問は、神様の絶対権(神様だけが決め得ることがら)に触れるものでした。マルコ福音書に「天と地が滅びるその日その時は、誰も知らない。天使達も子も知らない。父だけがご存じである」(13:32)とあります。イエス様は、弟子達の使命の中には、彼らが知りたいと願っている「時」や「時期」に関することがらは入っていない。それは、あなた方の召命に属することではなく、神に属する事柄である」ことを教えられました。 /n神様の絶対権  神様の絶対権について私達はどこまでわきまえているでしょうか。ロマ書に「人よ、神に口答えするとは、あなたは何者か。造られた物が造った者に、『どうして私をこのように造ったのか』と言えるでしょうか。」(9:20)とあります。神様は私達の生も死も支配なさるお方です。そのお方に対して私達は信じて従うのみであり、不平や不満を言ったり、神様に先走って物事を決めても、決して祝福された歩みにはなりません。 /nキリストの証人となる  イエス様は弟子達に、彼ら自身の仕事をしっかり成し遂げる為の言葉を与えられました。それが冒頭に記した1章8節です。彼らの上に聖霊が降ることによって、力が与えられ、彼らはイエスこそキリスト(救い主)であることを証しするキリストの証人となるとの約束です。言い換えるなら、キリストの証人とは、聖霊としての神の力を大前提にした言葉と行為によって立たされた人といえるでしょう。マタイ福音書には「すべての民を・・弟子にしなさい」。ここでは、「地の果てに至るまで、わたしの証人となる」です。キリストの証人による証言が2000年以上途切れることなく宣教され続けてきた結果、私達の伝道所があります。