「存続する信仰」 佐藤義子 牧師

/n[申命記] 32章1-6節 1 天よ、耳を傾けよ、わたしは語ろう。地よ、聞け、わたしの語る言葉を。 2 わたしの教えは雨のように降り注ぎ/わたしの言葉は露のように滴る。若草の上に降る小雨のように/青草の上に降り注ぐ夕立のように。 3 わたしは主の御名を唱える。御力をわたしたちの神に帰せよ。 4 主は岩、その御業は完全で/その道はことごとく正しい。真実の神で偽りなく/正しくてまっすぐな方。 5 不正を好む曲がった世代はしかし、神を離れ/その傷ゆえに、もはや神の子らではない。 6 愚かで知恵のない民よ/これが主に向かって報いることか。彼は造り主なる父/あなたを造り、堅く立てられた方。 /n[使徒言行録] 2章37-47節 37 人々はこれを聞いて大いに心を打たれ、ペトロとほかの使徒たちに、「兄弟たち、わたしたちはどうしたらよいのですか」と言った。 38 すると、ペトロは彼らに言った。「悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます。 39 この約束は、あなたがたにも、あなたがたの子供にも、遠くにいるすべての人にも、つまり、わたしたちの神である主が招いてくださる者ならだれにでも、与えられているものなのです。」 40 ペトロは、このほかにもいろいろ話をして、力強く証しをし、「邪悪なこの時代から救われなさい」と勧めていた。 41 ペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、その日に三千人ほどが仲間に加わった。 42 彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった。 43 すべての人に恐れが生じた。使徒たちによって多くの不思議な業としるしが行われていたのである。 44 信者たちは皆一つになって、すべての物を共有にし、 45 財産や持ち物を売り、おのおのの必要に応じて、皆がそれを分け合った。 46 そして、毎日ひたすら心を一つにして神殿に参り、家ごとに集まってパンを裂き、喜びと真心をもって一緒に食事をし、 47 神を賛美していたので、民衆全体から好意を寄せられた。こうして、主は救われる人々を日々仲間に加え一つにされたのである。 /nはじめに  「聖霊降臨」(ペンテコステ)の日、ペトロは集まった人々に、直前に起こった不思議なしるしは聖霊が降(くだ)ったしるしであったこと、このことは旧約聖書に書かれている預言が実現したのだ、とペンテコステの出来事を解き明かしました。さらに、十字架で殺されたイエスこそ神から遣わされた方であること、そしてこのイエスが私達の主、メシア(救い主)であることを伝えました。それまで聖霊は、預言者といわれる人々などごく限られた人々にしか与えられませんでしたが、この日この時から信じる者すべてに賜物として与えられるようになったのです。聖霊についてはイエス・キリストご自身も生前より弟子達に約束されていたものであり(ヨハネ14:15-)、聖霊降臨はその約束の実現でもありました。 /nイエス・キリストを遣わした「神」  ペトロが語った「イエスこそ神から遣わされた方」という神は霊であり、目に見えません。その神を証しするために来られたのがイエス・キリストです。イエス・キリストが神から遣わされてこの地上に人間として生きられたゆえに、私達は目に見えない神様のことを正しく知ることが出来るようになりました。イエス・キリストの十字架刑は、同じユダヤ人がローマ総督ピラトに訴え出たことによって執行されましたが、神様はそうなることをあらかじめご存じであったこと、しかし神様はイエス・キリストを死の支配下に置かれたままにされるわけはなく復活させられたこと、弟子達はこの復活の証人であること、そして「あなた方が十字架につけて殺したイエスを、神はメシア(救い主)とされた」と、説教を語り終えたのです。 /n「私達はどうしたら良いのですか」  ユダヤ人は神の民として旧約聖書を中心に生きてきました。神を信じ、律法を守り、救い主メシアを待ち望んできました。今、ペトロから「神から遣わされた方を、あなた方は十字架につけて殺した!しかもその方こそあなた方が待ち望んでいたメシアなのです!」と告発されたのです。神の子メシアを殺してしまった・・。ペトロの言葉を受け入れた人々は後悔と不安の中で、「私達はどうしたら良いのですか」と質問しました。 /nペトロの明快な答  ペトロの答えは「悔い改める」ことと「洗礼を受ける」でした。悔い改めとは、それまで生きてきた生き方の向きを変えて新しく生きる。神のいない世界から神のいる世界に生きるようになる。自分の中にある「主人の座」を神様に明け渡すということです。そして「イエス・キリストの名によって洗礼を受ける」とは、イエス・キリストを自分の主として受け入れ、イエス・キリストの救いの力に身をゆだねることです。「キリストの名」に結びついているのが罪の赦しです。悔い改めて洗礼を受ける者には罪の赦しが宣言され、賜物として聖霊が与えられる(38節)のです。  今の時代にあっても、聖書の言葉を聞いた者が「私達はどうしたら良いのですか」と素直に問うならば、ペトロの明快な答えが聖書を通して返ってくることでしょう。罪の赦しの宣言と、聖霊の賜物の約束と共に。 /n神が招く者すべてに与えられる約束  この約束は、時と場所を超えて、悔い改めて洗礼を受けるすべての人、「神様が招いて下さる者(主の名を呼び求める者・21節)」なら誰にでも与えられています。さらにペトロは「邪悪なこの時代から救われなさい」と勧告しました。救われなさいとは罪と悪から分離し、離れなさいということです。このペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、3000人が仲間に加わりました(41節)。これが教会の始まりといわれています。 /n教会の四つの仕事  彼らは、使徒の教えを学び(キリストを通してあらわされた驚くべき神様のわざについて学び)、信仰による交わり、「パン裂き」(聖餐式と愛餐会)そして熱心に祈りました。これこそ、私達教会の群れのするべきことです。