「天からの光」 佐藤義子 牧師

/n[ヨエル書]3章1-5節 1 見よ、ユダとエルサレムの繁栄を回復するその日、その時。 2 わたしは諸国の民を皆集め/ヨシャファト(主の裁き)の谷に連れて行き/そこで、わたしは彼らを裁く。わたしの民、わたしの所有であるイスラエルを/彼らは諸国の民の中に散らし/わたしの土地を自分たちの間に分配したからだ。 3 彼らはわたしの民の運命をくじで定め/遊女を買うために少年を売り渡し/酒を買うために少女を売った。 4 ティルスとシドンよ、ペリシテの全土よ/お前たちはわたしにとって何であろうか/わたしに復讐しようというのか。もし、お前たちがわたしに復讐するなら/わたしは直ちにお前たちの頭上に復讐を返す。 5 お前たちは、わたしの銀と金を奪い/貴重な宝をお前たちの神殿に運び去った。 /n[使徒言行録] 9章1-19a節 1 さて、サウロはなおも主の弟子たちを脅迫し、殺そうと意気込んで、大祭司のところへ行き、 2 ダマスコの諸会堂あての手紙を求めた。それは、この道に従う者を見つけ出したら、男女を問わず縛り上げ、エルサレムに連行するためであった。 3 ところが、サウロが旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。 4 サウロは地に倒れ、「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。 5 「主よ、あなたはどなたですか」と言うと、答えがあった。「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 6 起きて町に入れ。そうすれば、あなたのなすべきことが知らされる。」 7 同行していた人たちは、声は聞こえても、だれの姿も見えないので、ものも言えず立っていた。 8 サウロは地面から起き上がって、目を開けたが、何も見えなかった。人々は彼の手を引いてダマスコに連れて行った。 9 サウロは三日間、目が見えず、食べも飲みもしなかった。 10 ところで、ダマスコにアナニアという弟子がいた。幻の中で主が、「アナニア」と呼びかけると、アナニアは、「主よ、ここにおります」と言った。 11 すると、主は言われた。「立って、『直線通り』と呼ばれる通りへ行き、ユダの家にいるサウロという名の、タルソス出身の者を訪ねよ。今、彼は祈っている。 12 アナニアという人が入って来て自分の上に手を置き、元どおり目が見えるようにしてくれるのを、幻で見たのだ。」 13 しかし、アナニアは答えた。「主よ、わたしは、その人がエルサレムで、あなたの聖なる者たちに対してどんな悪事を働いたか、大勢の人から聞きました。 14 ここでも、御名を呼び求める人をすべて捕らえるため、祭司長たちから権限を受けています。」 15 すると、主は言われた。「行け。あの者は、異邦人や王たち、またイスラエルの子らにわたしの名を伝えるために、わたしが選んだ器である。 16 わたしの名のためにどんなに苦しまなくてはならないかを、わたしは彼に示そう。」 17 そこで、アナニアは出かけて行ってユダの家に入り、サウロの上に手を置いて言った。「兄弟サウル、あなたがここへ来る途中に現れてくださった主イエスは、あなたが元どおり目が見えるようになり、また、聖霊で満たされるようにと、わたしをお遣わしになったのです。」 18 すると、たちまち目からうろこのようなものが落ち、サウロは元どおり見えるようになった。そこで、身を起こして洗礼を受け、 19a 食事をして元気を取り戻した。 /nはじめに  今日の聖書は、パウロがキリスト教徒を迫害する人生からキリスト教の大伝道者へと人生が180度回転する「パウロの回心」といわれる箇所です。 /n迫害者パウロ  パウロがキリスト教徒迫害の道を選んだのは、彼が熱心で厳格なユダヤ教徒であったからです。パウロはこう述べています。「私はタルソスで生まれ、この都で育ち、ガマリエルのもとで先祖の律法について厳しい教育を受け、熱心に神に仕えていました。私は、この道(キリスト教)を迫害し、男女を問わず縛り上げて獄に投じ、殺すことさえしたのです。」(22:3)。 ガマリエルはユダヤ教の中でも特に厳格なファリサイ派の学者でした。彼らの関心事は、ユダヤ人の全生活の中に律法を完全に徹底させることでした。律法は「神を愛し、隣人を愛すること」との教えや、イエスこそメシア(救い主)であるとの信仰は異端であり、根絶すべきものでした。 /nダマスコ途上で・・   パウロは、ユダヤ教大祭司から「ユダヤ人の会堂でキリスト教徒を見つけ次第、男女を問わず逮捕する」許可書を持ってダマスコに向かいました。ダマスコに近づいた時、突然天からの光の輝きによって彼は地面に投げ出されました。そして、「サウル、サウル(アラム語)、なぜ、私を迫害するのか」と声だけが聞こえました。「あなたはどなたですか」と声の主を尋ねますと、「私はあなたが迫害するイエスである」と天から声が聞こえました。この瞬間に、「十字架で殺されたあのイエスは復活され生きておられる。イエスは主であられた!」と、パウロはこれまで考えていた「正義」が間違っていたことを知らされました。起き上がって目を開けたパウロには何も見えず、人々に手を引かれる状態でした。 /n回心  彼は三日間、目が見えない状態が続き、食べも飲みもしませんでした。パウロは断食して祈り続け、「なすべきことが知らされる」のをひたすら待ちました。自分の考える正義は時に間違い、神様の前に打ち砕かれます。その時、神様の前にへりくだり、なすべきことを示されるまでは祈りつつ待ち、示された時には、直ちに従うことが大切です。神様は、ダマスコに住むキリスト者アナニアをパウロのもとに遣わし、アナニアの祈りを通して再び見えるようにして下さいました。パウロは直ちに洗礼を受けました。クリスチャンへと変えられたのです。「あなた方が私を選んだのではない。私があなた方を選んだ。」それは「あなた方が出かけて行って実を結び、その実が残るように」(ヨハネ15:16)なるためです。神様に従う道には困難も伴いますが必ず平安があります。今週も又、神様の恵みと平安の中で歩まれるよう祈るものです。