2022年9月18日の説教要旨 列王記上21:1-16・ガラテヤ1:1-10

「ほかに神はない」      加藤 秀久伝道師

*はじめに

アハブは、北王国イスラエルの第7代の王として22年間王位にありました。彼は首都サマリアの建設を行い、宮殿は象牙で建てられ、富と力を人々に表しました。彼はシドン人の王の娘イゼベルと結婚し、戦いにおいては預言者を通して主から敵を滅ぼし去るようにと言われていたにもかかわらず経済的利益を得るために敵の王の命を助けたことで、預言者から非難を受けることとなりました。

*ナボトのぶどう畑

本日の旧約聖書は、アハブ王が宮殿のそばにあったナボトが所有するぶどう畑を自分の菜園にしたいので譲ってほしいと話を持ち掛けたことから始まります。しかしナボトは、「先祖から伝わる嗣業の土地を譲ることなど、主にかけてわたしにはできません」(3節)と断りました。

(民数記27章には、先祖から受け継ぐ土地は子孫へと、子孫がいない時は兄弟へ、兄弟がいない場合は最も近い親族に引き継ぐことが定められています)。アハブ王は、ナボトの言葉に機嫌を損ね、腹を立て、食事もとらなかったので、妻イゼベルから理由を聞かれ、ぶどう畑のことを話しました。

*イゼベルの策略

 夫の話を聞いたイゼベルは、ナボトのブドウ畑を夫のものとするため、ナボトのいる町の長老と貴族に「ナボトが神と王とを呪った」と、偽りの(聖書には、この後、神様の言葉が預言者エリヤに臨み、アハブに告げるべき言葉を託したことが記されています。それは、神様は、アハブの悪のゆえに災いをくだすこと、子孫を滅ぼし、妻イゼベルは犬の群れの餌食になるというものでした)。

*真の福音

本日のガラテヤ書は、パウロの伝道旅行によって立てられたガラテヤ教会に宛てた手紙です。当時、教会内にパウロが伝えた「キリストの福音」を覆(くつがえ)して、ほかの福音(6節)が入り込み、信徒達は偽教師達の影響を受けていました。パウロが伝えた福音は、「人は律法の実行ではなく、ただイエス・キリストへの信仰によって義とされる(2:16)」教えでしたが、偽教師達は信仰だけでなく割礼を受けて律法を遵守することで救われると教えていたのです。そこでパウロは「もし割礼を受けるなら、あなたがたにとってキリストは何の役にも立たない方になる」こと、キリスト者は自由を得るために召し出された(5:13)のであり、割礼の有無は問題ではなく愛の実践を伴う信仰こそ大切である(5:6)と教えました。又、偽教師達は「パウロの使徒職」についても問題視したので、パウロは、自分が使徒とされたのは人間によるのではなく、イエス・キリストと神とによることを1章1節で宣言しています。

*わたしたち

ナボトは、先祖からの嗣業の土地であるぶどう畑を、神様から与えられた法と掟に従うため、恐れずに王の申し出を断りました。私達日本社会ではイスラエルとは異なり、神様から与えられた法や掟は存在せず、神社やお寺を始めとしていろいろな宗教が存在しています。それら他宗教の土地や建物を眺める時、私達の信じる創造主・神様が、他宗教の神々と並ぶような錯覚に陥る危険性があるのではないでしょうか。

しかし私達には、真実の言葉、神の言葉があります。私達、神様を信じる者は、神様から真理を受け継いだ者達です。私達には「聖書」があり、正しい福音を伝える「礼拝」と、信仰者が共に集まる群れ「教会」というかけがえのない財産があります。私達はそれを今、受け取っているのです。キリストの言葉は、どこにでも存在し、私たちの手に取れる場所にあるのです。イザヤ書には「思い起こせ、初めからのことを。わたしは神、ほかにはいない。」(46:9)とあります。私達には聖書があり、この神様を信じる信仰と、教会と、礼拝が与えられているのです。