12月25日の説教要旨  「天に栄光、地に平和」  平賀真理子牧師

ミカ書513 ルカ福音書2120

 はじめに

今日の新約聖書の箇所は、3つの段落に分かれています。1節―7節を第1部、8節―14節を第2部、15節-20節を第3部として見ましょう。

 第1部(1節-7節)からわかる4つのこと

ルカ福音書は、ユダヤ人達の預言を知らない人々に対して、イエス様の御降誕が本当にあったことだと伝えるために、史実と照合して記されています。歴史上で強大な国だった「ローマ帝国」の、しかも、実質的な初代皇帝アウグストゥスの時代の出来事だと知らせようとしています。これが、まず覚えていただきたいことです(1つ目)。

2つ目として、この世で強い勢力を持ったローマ帝国の強い皇帝の支配下で、本当の救い主イエス様は、力のないユダヤ人の一般家庭に、一番弱い赤ちゃんとして、しかも、旅の途中で生まれるという定めに置かれたことを覚えていただきたいです。

3つ目に、ユダヤ人達の救い主誕生の地として預言どおり、ベツレヘムに生まれたことが重要です。ユダヤ人の預言を知っている人が読めば、(今日の旧約聖書の箇所)ミカ書5:1節の預言をイエス様は満たす御方であることがわかるように記されています。

4つ目に、7節に書かれているとおり、神の御子のこの世での両親という大事な役割を担う夫婦とイエス様御自身には、人間として居られる最初の場所さえ、この世には無かった意味を理解したいものです!本来、赤ちゃんの誕生は特別な喜びであり、普通だったら、多くの人が出産や新生児のために配慮できるはずです。ところが、神様が御子をこの世に送られた、その時、人々は他人に構っている余裕がなかったのです。

 神様のことを忘れる人間に対してさえ、愛をくださる神様

人々がこの世のことで精一杯で、心に余裕がない、そんな時に、神様は御子をこの世に送られました。神様のことを考えている暇はない、理想の世界を思う余裕はない、そんな時に、神様の方では、私達の救いを切望して御子を送られました。神様の深い愛を私達は思い起こすべきです。

 第2部(8節-14節)「羊飼い達に与えられた御言葉」

ここで、救い主御降誕の喜ばしい知らせを最初に聞くのが、羊飼いであることに注目しましょう。彼らは貧しく、ユダヤ人の中で特に軽蔑されていた人々です。ユダヤ人の中で力のあった律法学者達は、羊飼い達が仕事柄、安息日を守れないことで、彼らを低く見ていました。しかし、神様は人間の見方を悠に超えた所に来られます!イエス様のお生まれになった晩、夜通し働いていた羊飼い達の所に、つまり、本当に慰めを必要とする所へ、主の天使によって「救い主御降誕」の喜ばしい知らせが確かに告げられ、それに加えて、天の大軍と称される、大勢の天使達が発したのが14節の言葉です。「天に栄光、地に平和」と集約して今日の説教題にしました。「神様のおられる所=天」が「いと高きところ」であり、14節の前半は、神様に向けた讃美と言えるでしょう。神様への讃美は、天使だけでなく、私達=救われた人間ももっと行うべきではないでしょうか。14節後半の言葉は、この世で生きる人間が「主の平和」をいただけるように願いを込められた言葉と言えるでしょう。そして「御心に適う人にあれ」の言葉にも注目しましょう。神様の御心に従う人が「御心に適う人」であろうと推測できますが、具体的にどういう人でしょうか、それが第3部に書かれています。

 第3部(15節ー20節)「御心に適う人」①

まず、羊飼い達です。突然、神様に選ばれて御言葉に出会ってしまったにも関わらず、彼らは、それに従おうと動き始めました。16節の初めの言葉「急いで」とは「熱望して」という意味があります。彼らは、神様からいただいた御言葉を積極的に確かめたいと思って行動したと読み取れます。そして、主の導きという助けもあったと思われますが、主の天使の預言 (12節)どおり、「飼い葉桶に寝かされて布にくるまれた赤ちゃん」のイエス様に出会えたのです!それだけでなく、羊飼い達は、神様の御言葉がこの世に本当に実現することを目の当たりにして、大きな喜びを感じ、他の人々に、自分達の体験を告げ知らせました。彼らは喜びを素直に表現し、主の恵みを告知する役割を果たしました!

 第3部(15節ー20節)「御心に適う人」②

次に、「御心に適う人」として覚えたいのが、イエス様のこの世での両親です。今日の箇所19節で、マリアは、これらの出来事を「心に納めて」とあります。彼女の行動に表れた忍耐強さ、確かな覚悟、深い洞察力、従順さが「御心に適う人」の特徴をよく示しています。マタイ福音書には、ヨセフの信仰もよく示されています。「主の御降誕」は、天の神様から働きかけられたことを、この世の「御心に適う人」が受け入れることにより、救いの第一歩として確定されました。「主の御降誕」を知らされた私達も「御心に適う人」として動き始められるよう、祈りましょう。